ホームページを作る仕事をして、もう10年以上になるのですが、ホームページ制作というビジネスが始まってからというものの、いまだに「相場」というのが定まっていないのが、この業界の特徴でもあります。
同じ10ページ構成のホームページを何社かに見積りを依頼すると、その幅は5万円から200万円、場合によっては1,000万円超えなどと、かなり幅広い価格帯が上がってきます。

ではどうしてこれだけ振り幅があるのか、それをお話ししたいと思います。

制作に関わる人数の違い

一般的にホームページ制作は、企画、設計、デザイン、ページコーディング、CSSコーディング、JavaScript実装、そのほか昨日の実装、テスト、修正、納品というフローを経て完成しローンチ(公開)します。
どんなに小さい規模のホームページでも、このフローは適用されるものとお考えください。
そしてこのフローで制作に関わるスタッフの内訳は以下のとおりです。

  • ウェブプロデューサー:ホームページの企画立案をして方向性を定めたり費用・予算を管理する
  • ウェブディレクター:制作現場の指揮管理をし、クライアントとやり取りをする人
  • ウェブデザイナー:クライアントの要望に合わせ、PhotoShopやXD、Sketchなどでデザイン制作をする人
  • マークアップエンジニア:デザイナーが制作したデータに基づき、HTMLやCSSをコーディングしていく人
  • ウェブエンジニア:ホームページに動きをつけるJavaScriptやPHPなどのプログラムを実装する人

ざっとですが、このような人たちが一つのサイトに携わっていきます。
会社によってはすべて在籍している場合もありますが、多くはいくつか兼務していることが実際のところです。
場合によってはすべての役割を一人で担う場合もあります。決して珍しいことではないのですが、なかなかこなすのも一苦労です。
同じ規模でも振れ幅があるのは、それぞれの役割を一人づつ担当しているのか、すべて1人で担当するかで変わってきます。

このほかに、集客目的でホームページを制作する場合は、検索サイトの検索結果で上位にランクインさせるプランナーや、ホームページの解析をするアナライザーという人も必要になります。
つまりたった5ページ、10ページのホームページでもこれだけの人が動くということをよく頭に入れておいてください。

ホームページの明確な目的の違い

ホームページを公開する明確な理由を、みなさんはきちんと伝えることができますか?
一番制作会社に嫌がられるのは「古くなったデザインだから新しくして」「かっこよくして」という目的でホームページを立ち上げようとする人や会社です。
ホームページはいまや単なる紙パンフのデジタル版ではありません。
ホームページは一つの宣伝媒体、広告媒体としての役割をもち、使い方によってはホームページから収益が生まれる可能性も十分に秘めています。

そのため、「単なる会社案内」であれば30万円〜で制作を依頼することができます。
しかし心のどこでに「集客したい」という思いがあるのなら、その費用は100万円を超えるでしょう。
集客目的のホームページを作りたいときは、

  • 業界分析
  • 同業他社分析(最低5社)
  • クライアントの財務状況、売上状況の共有・分析・明確な数値的目標
  • 集客のための踏み台ページ(ランディングページ)の制作
  • リスティング広告を念頭に置いたコンテンツの構成

といった5つのポイントが、通常制作する工程に乗っかってきます。
つまりホームページの目的によって、費用体系に大きな振れ幅があります
集客を目的としたホームページであれば、最低でも100万円は見ておくべきです。

実装する機能の違い

たとえば一つの例として「お問い合わせフォーム」があります。
これも場合によっては費用の大小が存在します。
お問い合わせフォーム自体は、技術的に難しくなく、少し勉強すればご自分でも設置することができます。
では1万円と50万円のフォームの違いはなにかというと、「フォームにどのような機能を持たせるか」ということです。

最近のお問い合わせフォームには、入力しなければいけない項目が空欄になっていると、その場で指摘してくれます。
また入力項目が多い場合、いまどれくらいまで入力してますよ、というガイドが表示されます。
もしくは入力項目でチェックボックスやラジオボタンの場合、標準のものだと小さくて使いにくいからオリジナルのものにしたい、という機能もあったりします。

これらの機能を実装したいときは、別途プログラムを組んだり、スタイルシートで調整したりする必要がありますので、そう簡単にできるものではありません。
よく「この会社みたいなフォームを作って欲しい」とリクエストしたら、50万円もの見積りが来た」というケースをよく聞きますが、これはそういう理由なのです。

ざっくりとしていますが、どうしてホームページの制作相場が決まっていないのか、簡単ではありますがお話しさせていただきました。
もちろん予算が限られている場合は、それに合わせて制作しますが、すべての要望を取り入れることは難しいことだけでも、知っていただければ幸いです。

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