6月から企業の採用活動も本格化し、近年稀に見る人手不足で、多くの企業が一人でも多く社員を確保しようと躍起になっている頃だと思います。
今年度も売り手市場で、業界によっては有効求人倍率が3倍、つまり1人の求職者に3社が取り合うという事態になっているそうです。
経団連の会長やトヨタ自動車の社長も「今後終身雇用制度はもたなくなる」と危惧するくらい、10年前と比べ人手不足による企業の存続も厳しいものになり、「働く」という意義も根底から覆されるのではないかと言われています。

そのような情勢の中、当社は2006年の設立以来一人も正社員を雇用していません

当社には「メンバー」と呼ばれるクリエイターが何名か登録されているだけで、正式な社員は一人もいません。
この「メンバー」さんたちは、普段は自分で仕事をしているフリーランスの方々で、当社にプロジェクト案件がきたときに、メンバーさんの能力や技術を考慮してチームを編成し、クロージングまでを行っています。

この体制を整えたのが2009年頃で、それまでは社長自らがすべての工程を一人でこなしていましたが、1日に使える時間は24時間しかなく、さまざまな規模の案件をさばいていくのに限界を感じたためです。
その際「正社員を雇用する」という考えもありましたが、当時の経営方針として、

  • オフィスを極力持たない
  • 雇用して育てるより、プロフェッショナルを集める
  • スキルレベルに応じて適切な対価を支払う

というものがありましたから、求人を募るというより「フリーランスクリエイターを探す」ことに重点をおきました。

前に企業研修でアシスタントをしてくれた人や、古くからの知り合い、ツイッターなどのSNSで募る、といった手段で6人ほどメンバーとして登録をすることができました。
その後プロカメラマンを3名、モーションクリエイターを1名メンバーとして迎え、途中でメンバーの何人かが企業に入ったりして、現在は8名ほどになりました。
ウェブ系メンバーは、主にコーディングなどのフロントエンジニアや、WordPressなどのプログラミングエンジニア、サーバーサイドエンジニア、ウェブデザイナーが在籍しており、大小さまざまな案件に対応することができるようになりました。

当社で案件が発生した際、メンバーのみなさんには必ず作業見積りをしてもらうのですが、最初に私が言うのは「決して値引きはしないでください」です。
フリーランス、つまり個人事業でウェブの仕事をしていると、どうも安く使われがちです。
私はそれを根底から変えていきたいので、メンバーのみなさんには値引きなしの見積りを出すようにお願いしています。
それをクライアントに伝え、これが適切な価格であることを交渉するのが、私の仕事だと考えていますので、その対価を渋るようであれば迷わず降ります。
値引きしたところで決していいものは作ることができませんから、そのような姿勢を維持しています。
周りの経営者からは社員を雇った方がいいよ、と言われることがありますが、もう一つ社員を雇用したくない理由があります。

それは「社員を雇用するとこき使ってしまう恐れがある」から。

これは当社のクライアントでもある同業の社長さんから聞いたお話しなのですが、社員を決まった給料で雇うと「定額使いたい放題」になるそうです。
雇われた社員さんは、毎月決まった給料で働きますが、場合によっては残業したり休日出勤したりすることもあります。
ここできちんと残業代なり支払っていれば問題ないのですが、社員さんにも自分の生活がありますから、あまりこき使われると辞めてしまう可能性があります。
しょっちゅう入れ替わるような会社は、そもそも経営者が「定額使いたい放題」という意識を180度変えていかなければいけません
いくらお金をかけて求人サイトを作ったり、動画を使っても意味がないのです。
そのため当社は設立以来社員を雇用していないのです。もし本当に当社で働きたいのであれば、個人事業主になってからおいで、と言っています。

ちなみに「正社員のいない制作会社は品質に疑問がある」とお考えの方、もうその考えは捨てるべきだと思います。
ウェブ業界には企業のほかに、多くの優秀なフリーランスクリエイターが存在しています。
フリーランスクリエイターはウェブスキルも高く、常に品質向上を意識しながら制作をしています。

これからの働き方改革で、業種業界問わず多様な働き方を許容できる、柔軟な考え方をもつことが企業を存続させるにも大切なことだと考えています。

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