ホームページ制作のレトリバーデザインの社長が綴るブログ

どうしてここまで写真にこだわるのか

どうしてここまで写真にこだわるのか

こんにちは、笹金です。
レトリバーデザインのウェブ制作の特徴の一つとして「写真」があります。
今日はどうしてそこまでして写真にこだわるのかをお話ししたいと思います。

もともと作文が苦手だった

私がレトリバーデザインを設立した2006年は、いわゆるブログブームに沸いているのと同時に「SEO対策」ブームでもありました。
当時のSEO対策の基本は「ページ内に10個程度のキーワードをちりばめた文章を掲載すること」でした。
そのためウェブ制作に求められるものの一つとして「ライティング」がありました。

ところが私は根っからの作文アレルギー。小学生の夏休みの宿題の定番でもある「読書感想文」が最後まで残るくらい、苦手なものでした。
もちろん宿題ですから一応やりますし、大学のレポートや論文もイヤイヤでしたが書きました。

そんな作文が苦手な私にとってライティングはかなりの重荷でしたが、考え方によってはキーワードさえ埋めておけばとりあえずクリアできるわけですから、そこは上手く切り抜けました。
ところが2007年になると、FLASHムービーが最盛期を迎えます。すると長い文章よりもビジュアルの動きなどでウェブサイトを作ることが主流になってきましたので、そこまで必死になってライティングする必要は少なくなってきました。
個人的にちょっとホッとした時期でもあります。

写真素材といえば「素材集」

ウェブサイトに使用する写真画像は、その当時「素材集」とよばれる1枚のディスクに200枚くらいの写真素材がテーマごとに発売されていて、私もたくさん購入しました。
1枚4,000円前後でしたから、比較的手にしやすいもので予算の限られているクライアントさんの制作によく利用させてもらいました。
他にもオンラインで手に入る高品質の写真素材もあったのですが、1枚5,000円からと高価なものでしたので、クライアントさんも利用することはほぼありませんでした。

そんなわけで、市販されている素材集を使っていくと、当然の現象が発生します。
それは「同じ写真がいろんなところで使用されている」という現象です。
ウェブサイトならまだしも、一番驚いたのは、市役所などの自治体がポスターで使っているのを目にした時と、100円ショップで売られているミニカレンダーの画像に使われていたときです。
これを目にした瞬間、市販の素材集を使うのは止めました。

突然2年分の写真使用料という名の請求書が届く

そしてもう一つのトラブルが、周りで頻発するようになりました。
それは「仮あての写真をそのままアップして、高額の利用料を請求された」というトラブル。

いくつかのクライアントさん(残念ながらレトリバーデザインは落とされてしまったのですが)から似たような相談をほぼ同時期に受けていまして、その内容を伺ったところ、次のようなことがわかりました。

仮あてで使用した写真は素材配布サイトから得たものだった
その写真はライツマネージドのもので、使用期間分(約2年分)請求された
制作会社に確認しても「知らない」の一点張り

おそらくカンプと言われるウェブデザインデータを作成するときに、仮に当てる意味で使ったのだと思われます。
しかしそのような説明をきちんと伝えなかったために、クライアントさんは「これでOK」としてしまったのでしょう。
結局そのまま公開になり、気がついたら1年、2年と経過していて、突然請求書が来た、という流れです。
クライアントさんは「制作会社は難しいカタカナ用語をたくさん並べて話すから意味が分からない。代わりに交渉してくれないか」となり、私が代わりにその制作会社に事情を聞きました。
すると、

この写真はどのタイミングでアップされたか分からない。
デザインしたのはフリーランスのデザイナーで、2年以上も前のことだし、今は連絡を取り合ってないから分からない。
仮あてでライツマネージドの写真を使っていたことは知らなかった。

という回答。
デザインデータはフリーランスの人が作ったにせよ、ページの組み立ては制作会社がしたので、その時点で確認をとっていれば良かったのではないかと伝えたものの交渉は難航しましたが、最終的にはクライアントさんと制作会社が写真使用料を折半して支払うことで双方納得してもらいました。
すべて終わってクライアントさんが「結局レトリバーさんが提案してくれた金額と同じか少し出ちゃったな。レトリバーさんは写真撮影してくれる内容だったもんね。いやー、高い勉強代になってしまったな」と仰っていました。

やはり写真はオリジナルに限る

そんなことがあってから、クライアントさんの意識も変化していきます。
やはり写真素材は自分たちのオリジナルのものを揃えようと考え始めるようになりました。
どういう写真がウェブサイトには必要なのか、どういうアングルがユーザーの目に留まってくれるのか、など写真がもたらすメリットを尋ねるクライアントさんが急速に増えました。

ようやく写真に価値を見出してくれるようになって、私は嬉しくなりました。
これでようやく当たり前の時期になると、心からそう思っていました。

「自分で撮る=コスト削減」という勘違い

「これで写真撮影もうちの会社で請けられるかな」と淡い期待をしたのも束の間、どういうわけかクライアントのみなさん、こぞって一眼レフを買い始めたのです。
理由は「若い社員にこの一眼レフでバシバシ写真を撮ってもらうんだ。ちょっとした投資だよ」とのことでした。
この頃のは「一家に一台」というくらい一眼レフが浸透し、学校の運動会のかけっこ競技では、まるで記者会見さながらの撮影風景が見られるようになりました。
そのため企業でも一眼レフを導入することが多くなり、淡い期待は期待で終わりました。

「プロが使うカメラ=プロと同じ写真が撮れる」という妄想

そんなことがあって1年半くらい経ったある日、とあるクライアントさんから「たくさん写真を撮ったからリニューアルしてよ」と依頼がきました。
2,000枚を超える写真データがやってきて、いざデザインカンプに入れてみると・・・「??????」
どんなにPhotoshopを使って補正しても、現像ソフトを使ってみても、一向にサイトのイメージが合いません。
その事実をクライアントさんにも見てもらったところ「こんなはずはない。だって15万もする一眼レフを買ったんだ。絶対にこんなことはない」と写真のクオリティに愕然としておられました。

おそらく「高いカメラを買えば、プロみたいな写真が撮れる」と思ったのでしょう。
それは「Macを買えばデザインの仕事が始められる」ということと同じ。
結局のところ使う機材に優劣はありません。大事なのは「それまで積み重ねた経験がどれだけあるか」だと思います。

どうしてプロはプロの仕上がりになるのか

クライアントさんは「どうしてプロと同じカメラを使っているのに、同じように撮れないのか」と聞いてきました。
私自身はプロカメラマンではありませんから技術的な理由を言うことはできません。
しかしプロとしての違いならお話しできるので、このようにお話をしました。

どれだけいいカメラを買っても、写真に対する基礎知識、写真データの仕組み、基本的な構図の理解、撮影するときの周辺環境、日照時間、日の出・日の入りの時間、天候、風向き、湿気の有無などの細かい気象条件、室内撮影なら照明の配置、照明の出力数、天井高、またフードなら湯気の立ち上り方、風の有無、フードの照り具合、写真映えする盛り付けなどの細かい配慮、そしてそれらを踏まえた実戦で得られた経験値などが複合的に組み合わさらないと、いわゆる「良い写真」「納得できる写真」を自分で撮影するのは難しいのです。

つまりプロのカメラマンはこういった細かいところまでを瞬時に把握し、目的に合わせた(ウェブ用、パンフ用など)仕上がりイメージをしっかり持って撮影に臨むのです。
個人の趣味の写真と違い、プロのカメラマンは商業写真を撮影しますから、いろいろと細かいところまで気配りをします。

写真はプロに任せるということ

写真のみならずいろいろな作業は、やはりその道のプロに任せることが最もリスクが少なく、無駄のないものだと考えています。
でも手始めは自分でやってみてもいいんです。その経験が大切です。
その中で、自分でやってみたけどやっぱりうまくいかないという時に、プロに依頼すればいいのです。

よく「画像差し替え作業を10分で5,000円は高い。だってパソコンでチョイチョイってできるんでしょ」と言われることがあります。
これは大きな間違いなんですね。
「10分でこの作業をできるようになるまで、私は5年経験を積みました」と返したことがあります。
確かにプロと呼ばれる人は作業が早いです。ですがそこまでに至るのに、涙ぐましい努力があるということも頭の片隅に置いていただければ大変嬉しく思います。

Tatsuya Sasagane

レトリバーデザイン有限会社代表取締役。 法人営業、システムエンジニア、デザイナー、ネットショップマスターを経て2006年にレトリバーデザイン有限会社を設立。 「写真」を重点に置いたビジュアル重視のデザインで、多くのブランディングを手がける。