ホームページ制作のレトリバーデザインの社長が綴るブログ

ウェブを変えたい本当の理由を探る

ウェブを変えたい本当の理由を探る

こんにちは、笹金です。
今日はどうしてウェブサイトをリニューアルしたいのか、その理由を深く掘り下げてお話しします。

いままでウェブの仕事をして10年以上になりますが、ウェブ制作の案件で割合が高いのが「リニューアル」案件です。
新規制作は全体の3割くらいでしょうか。それ以外は企業サイト、通販サイト、会員制サイトなどジャンルを問わずリニューアル案件です。
はじめのうちは、ただ「見栄えをカッコ良くしたい」というクライアントさんの希望を叶えるべく、最新の技術やFLASHムービーなどを制作してカッコいいサイトを制作しました。
もちろんクライアントさんには満足していただけるものになったのですが、3年くらいしていくと少し違和感を持つようになってきました。

「カッコ良くしたいから」で始まったリニューアル案件

今から8年前くらいでしょうか、とある製造業系のウェブリニューアルの案件を代理店からいただき、ヒアリングに伺いました。
ウェブサイトを開設して5年経ち、そろそろ新しくしたいというお話しでしたので、いくつかの参考サイトをキャプチャして紙にまとめて行きました。
ざっくり聞いたところによると、

  • 開設して5年経って、古さを感じている。
  • いまどきのFLASHとかを使ってかっこよくしてほしい。
  • 検索サイトの上位に表示されたい。
  • いまのものはすべて破棄していい。

というご要望でした。

当日私は意気揚々と、そしてまだまだ駆け出しだったものですから「絶対に案件取ってやる」というやる気に満ちた雰囲気で伺ったのです。
打ち合わせの場には社長さんと担当者の営業部長さん、代理店の担当者さんと私の4名。

イメージ参考になるサイトをテーブルいっぱいに広げて、「こんなヘッダーはどうでしょう?」「こういう見せ方が流行っていますよ」などとあれこれ話しをしました。
担当者の営業部長さんは食い入るような目で「これ、いいね。あ、こっちもいいなあ。お、画面いっぱいに写真がある、これもいいなあ」とあれこれ目移り気味の様子。

一方社長さんは、1枚に手にしてはすぐに置き、また1枚手にしてはすぐに置く、ということを繰り返していました。
営業部長さんと代理店担当者さんはいつのまにか大変盛り上がっていて、「オリジナルブログとか、今時でいいですよ!」「そうなんでか!よし、それやりましょう!」と、もう決まったかのような雰囲気でした。

本当の「理由」があるはず

それとは対照的な社長さんの表情を見た私は「社長さん、リニューアルする本当の理由って、古くなったからのほかにも何かありますね?」と聞いてみました。

実は打ち合わせに行く前に、現状のウェブサイトを見たのですが、とにかくページや文章がたくさんあるにもかかわらず、結構読み応えのあるものだったんですね。
文章の書き方からして、きっと社長さんが書いたに違いなく、いろいろ書いているうちにページが増えてしまい、整理することができなくなってしまったのかな、となんとなく感じていました。
そしてその会社の事務所には高齢の方が結構ましたので、きっと人材採用のことでも悩んでいるのかな、と求人ページを見た時にそう感じました。

そこで私はこう聞いてみました。

「社長さんは人材に困っているんじゃないですか?技術の伝承が必要とか。だからリニューアルしたいのかな、と思いまして。目的はカッコ良くするのではなくて、社長さんが今までためてきた情報を整理して、届くべき人に必ず届くような構成に変えるとか」

すると社長さんは

「そう、そうなんだ。よくそこに気がついたね。今の悩みは職人をどう維持していくかなんだ。でもこんな零細企業に若い人たちが興味をもつなんてありえない。でもウチの技術は自信がある。だって世界からも認められている技術を持っているからね」

と本音を話してくれました。
これには営業部長さんも驚いた様子で、社長さんのお話に耳を傾けていました。

目的を明確にしたリニューアル

ウェブサイトをリニューアルしたい本当の理由が判明した瞬間です。
あとはその目的を実現するために、現状のサイト構成を検証し、ゴールを「人材採用」にしたサイト構成に組み替えました。
その中で不足している写真素材はプロカメラマンに撮影してもらい、文章は代理店のライターさんに推敲してライティングしてもらいました。

リニューアル制作に要した期間は約3ヶ月。
リニューアルサイトはビジュアル少なめで文章多め。でもしっかり読んでもらう文章に整えたので、サイト滞在時間も比較的長くなりました。
公開して3ヶ月くらい経ったある日、サイトを見て20代後半の男性2人が応募に来たそうです。
2人とも社長さんの綴った思いや会社のことに共感して、応募する決意を固めたそうです。
もちろん2人とも即採用。
今では立派に技術を伝承して、さらに後任の指導にもあたっていらっしゃるそうです。

ウェブを変えることは経営的転換期でもある

何かを変えたい、直面している課題を解決したい、というときにウェブというのは一番手をつけやすいツールです。
新規案件よりリニューアル案件の方が難易度はとても高いのが、今までの経験から導かれる回答です。
リニューアルは、それまでの積み重ねがありますから、いかにその積み重ねを無駄にしないで、新しいコンテンツの基礎にするかが成功の分かれ道かと思います。
「真の理由を知る」ことが、制作会社にとってもその後の結果の明暗を分けるのだと、私は感じています。

Tatsuya Sasagane

レトリバーデザイン有限会社代表取締役。 法人営業、システムエンジニア、デザイナー、ネットショップマスターを経て2006年にレトリバーデザイン有限会社を設立。 「写真」を重点に置いたビジュアル重視のデザインで、多くのブランディングを手がける。